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  悲劇の少女―第5幕― 〜第222話〜

 (107日目深夜)
 部屋に戻った俺に、部屋ん中にいたそいつが、悪態つきやがった・・・。
「・・・また、酒場で飲んだくれてやがるのか?」
「うるせぇ・・。テメェのようなガキに、何がわかる・・。」
「けっ、完全に酔い潰れちまったテメェを、部屋に運んでやったのは、この俺だぜ?」
「ちっ、うるせぇ。俺は、もう寝る。起こすな・・・。」
「ふて腐れんなよ。酒が弱ぇくらいでよ・・・。大人だろ?」
 今日も、マティーヨって娘は、姿を見せなかった。どうせ、やる事も見あたらねぇ。
金は、とりあえず困らねぇ程度にあるっつっても、このままじゃ、底ついちまう・・。

「・・・寝ちまったか。」
 そのガキは、周りをよく見回した後、ベッドで寝てるその娘に小声で話しかけた。
「気分・・・どうだ?」
「―――ええ。もう、・・・だいぶ、よくなりました・・・。」
「早く・・、よくなれよ・・。」



 (108日目夕方)
「今頃起きてくるなんて、気楽な人間だな・・・。」
 ザヌレコフの野郎が、部屋から出てくるとこにかちあった。
「出かけるぜ・・・。」
「どうせ、飲めもしねぇんだし、俺らに迷惑掛けんなよ。」
 ザヌレコフの奴は、俺の声を聞いちゃなかった。
「大丈夫なのか?あいつ・・・。」
「―――何も、悪いことが・・起きなければ、いいのですが・・・。」
「ド・・ドルカ?!もう、起きても平気なのか?」
「ええ・・・。それより―――」
 ドルカの表情は、不安でいっぱいだった・・。



「・・・ねぇ、・・ジルお姉ちゃん?」
「なに?もうすぐ、夜よ。さぁ、準備して。」
「・・・誰もいないじゃない?!何よ、あの高い入場料!!
 このままじゃあ、誰も来なくなっちゃうわよ!!」

「仕方がないよ、アニーお姉さん。マティーヨお姉さんが、そう決めたんだから。」
「マティーヨお姉ちゃんは、昨日やるって言ったのよ!!勝手過ぎない?!」
「アニー?マティの事は言わないって約束でしょ?マティは、マティなんだから・・。」
「もう、ジルお姉ちゃん!!」

「ごめん・・。今日、私・・・、ステージで歌うから・・・。」
「あっ・・、マティーヨ・・・お、お姉ちゃん・・。」
「聞いてた?マティ・・。歌ってくれるのは嬉しいけど、誰もお客さん、いないって。」
「前から言おうと思ってたけど、もう、あんな入場料取るの、やめようよ!!
 わかってるわよ・・・。そうでもしないと、生活出来ないって・・、けれど!!」

「そう・・、今日は、誰もいらしてないの・・・。」
「今日はじゃないのよ?!今日も・・・だからね!!」



 (108日目夜)
「ほら、見てよ?!こんな時間なのに誰もいないじゃない!!」
「あら、・・・閉店なんて看板ぶら下げてるの?」
「あ、う、・・・うそ?!」
「もう、アニーお姉さん・・・。」
「あ、・・あのよぉ。今日・・・、開いてんのか?」
 俺は、入り口に来たその4人の娘に話しかけてた・・。
いい加減諦めて帰ろうと思ってた頃だった。
「あ、昨日も酒場にいらしてた・・。」
「・・・ご、ごめんなさい。お見苦しいところをお見せしてしまって・・。」
「き、・・気にしちゃあねぇよ。ディナーショー、・・・開くのか?」
「は、はい。・・・ごゆっくり、お楽しみください・・。」

 俺は、席に案内された。ウェイトレスの娘が酒やら料理やらを運んでくれた後、
4人の娘達は、ステージに上がって行った。
 こうして見ると、4人はそれぞれ、どの娘も可愛かった―――、
だが、その中でも、あのマティーヨって娘は、輝いて見えた・・・。
 ディナーショーは静かに始まった。普段からピアノを弾いてる娘は当然として、
他の2人の演奏もなかなかのもんだった。

 前奏が終わって、マティーヨはマイクの前に立って、大きく息を吸い込む―――



 俺は、椅子から思いっきり音を上げて立ち上がった。
俺が期待していたのとは、全く違う音がステージから聞こえて来やがったせいだ。
「・・・な、ど、どうなってやがる?!」
 ステージの隣の壁が轟音を上げて崩され、何人かの野郎が乱入して来やがった。
そん中の1人が煙幕を張りやがった。白い煙で視界が遮られる―――
「くっ、何処のどいつだぁ?ディナーショーを邪魔しやがった野郎は?!」
「あ、・・あら?マティ、・・どこ?!」
「ジルお姉さん!!マティーヨお姉さんがいないわ!!」
「なんだと?!」
 俺は、ソードを構えて、ステージの上に駆け上がった。
「何処だ?!・・・どこに行ったんだ?!」
「ジルお姉ちゃん、さっきの人達、兵士のアーマーを装備してたわ。
 ―――マティーヨを連れ去ってったのよ!!・・・でも、どうして?」

「そんな事もわからないの?決まってるじゃない・・・、だから、言ったのに・・。」

「ここの兵がそこの壁から、かっさらってったんだな?!」
「え?・・お、お客様・・、すみません。こんな事に、なってしまって・・・。」
「俺が、助け出す!!・・・心配せずに、待ってろ。」
「あなたは・・・、いったい―――?」
 俺は、壁の方に走りながら、残った3人の娘に答えた・・。

「ザヌレコフ=ディカント―――、恋人募集中だ!!」



 外の冷気が体に突き刺さってきやがる。・・・奴等は城の人間―――。
「それなら、行く場所は1つじゃねぇか!!」
 走り出そうとした段階で、俺は、初めて気づいた。

「―――この国の城・・・何処にあるんだよ?」

「うぅ・・、リークさまぁ・・・、リーク、・・さまぁ―――。」

 ・・・何処かで聞いた事ある女の泣き声が、どこからともなく聞こえて来やがった。
そいつは、角を曲がった所でうずくまってやがった・・・。
「・・・おい、お前―――、何、してんだ?」
 その女は俺の方を向いてきた。
「リーク様が・・・、捕まっちゃったのよ―――。わ、わたし・・・」
 また泣き始めやがった。どうにも、俺の苦手なタイプの女だ。
「リーク様―――、革命派の家の人だから・・、だから、きっと捕まったのよ。
 ・・・ここの、兵士達は・・、――― 王女 派だから・・・。」

「兵士―――、おい、見たのか?!さっきの連中を!!どっちに向かった?!!
 理由はどうでもいい。許してられるか?!あぁ、じれってぇ!!案内しやがれ!!」


 俺は、そいつを抱きかかえて走り出した。
「えっ・・、い、いやぁぁ!!このエスティナ様に、な、何する気よ?!!」
「どっちだ?!!とっとと案内しやがれ!!」

'07/01/10 edited('06/09/22 written) by yukki-ts To Be Continued. next to


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