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  悲劇の少女―第5幕― 〜第193話〜

「なりませぬ。女王様・・。」
 ホイッタの答えに、あたしは落胆したわ。
「何故?・・あたし、何か間違っている事を言っているというの?」
「今、あなた様が行うべきことは、他に・・」
「何があると言うの?あたしはこの国の、・・・女王なのよ。」
「―――今日は、部屋で、・・休まれてはいただけないでしょうか?」
「・・何を、言っているの?」
「4人の者にお仕えさせます。何か、
 私めに用がございましたならば、その者達に・・」

「何か、・・あたしに隠している事でもあるの?!」
「まさか・・。とにかく。兵を呼んで参りましょう。
 お部屋に、お戻りなさいませ・・、女王様・・。」


 あたしは、それから、すぐに兵に囲まれて、部屋に連れてかれた。
「ねぇ?あなたたちは、何も知らないというの?」
「ホイッタ様より、女王をお守りするようにとのご命令以外、私共は、何も・・」
「女の私に出来ることがありましたら、お気兼ねなくご相談下さいませ、女王様。」
 いつもの兵2人に加えて、別の兵と、その女の兵士も一緒だったわ。
「どうせ、その2人に訊いても答えてくれないわね。それなら、あなたに訊くわ。
 ・・・今日、これから何があるというの?」

「―――何も、ございませんわ・・。」
「何もない・・、そんな事ないわ。今日は・・・」

 ネーペンティの弟。姿を消されてから、ちょうど今日と同じ日に、
―――変わり果てた姿で、エリースタシアの国へ帰って来た・・。
 あの日の、ネーペンティの顔は、今でも、忘れる事が出来ないわ・・。
「あなたたち2人も、2年前に、・・一緒にエリースタシアに・・」
「分かってください、ティスターニア女王様。今日、あなた様が部屋から
 出ることを固く禁じるようにとの、命令でございます・・。」


「・・・無理にでも、出ようとすれば・・?」

 あたしがそう言って、少し扉に向かった瞬間、部屋中に緊張が広がったのを感じたわ。
「冗談よ。わかったわ・・。」
 この4人にとって、冗談でも何でもないことは分かった。
「結界まで張ってる・・なんて。―――どうしても、出させる気はないのね。」
「お、お許しくださいませ、女王様・・。」
「いいわ、あなたを責めているわけではないから・・。
 わざわざ、ここまでするからには、今、この国―――王城で、何かがあるのね・・。」

 何が起こっているか・・、訊いても答えてくれそうになかった。



 (100日目夕方)
「・・セリューク様!!」
 私達が、セリューク様のいるグリンディーノにたどり着いたのは夕方の事でした。
「やはり、・・お前さんたちじゃったか・・。」
「えっ・・?」
 セリューク様は、私のロッドを見てから、セニフさんに話しかけられました。
「セニフよ、・・とうとう、再び、封印を・・。」
「ああ・・。」
「な、なぁ?ちょっと、みてくれねぇか?」
 その声でふり返られたセリューク様は、ディッシェムさんに背負われている
ドルカちゃんを見て、とても驚いたような声をあげられました。
「そ、その子は?ど、どうした?!何処におったんじゃ!!」
「知っているのか?」
「わしが昔、ここで見とった・・。」
「・・ひょっとして、・・む、娘さんなの?!」
「い、いや・・。」
「じゃ、孫娘ってことか?」



 それから、セリュークのばあさんの視線がものすごく冷たくなりやがった。
「じょ、冗談だろ、な、なぁ?」
「ばあさんよ、・・この娘の事、詳しく教えちゃくれねぇか?」
「だ、だれが、ばあさんだ?!何処におる!!」
「な、そりゃ、・・ばあさんのこと――だろ?」
「ず・・、ずいぶん、・・・えらそうな人間―――」

 セリュークのばあさんのザヌレコフを見る目が変わった。
「―――ほぅ。・・・お主、・・・ティルシスの・・。なるほどのぉ・・。」
「な・・、ばあさんまで?・・・なんでティルシスの奴を!?」
「あぁ・・、いちいち説明しなければならないのか!?・・・私と、ティルシス、
 ・・・そして、このセリューク大魔導師は、かつて仲間だったんだ。」

「なんだと?―――まだ、隠してることは、ねぇんだろうなぁ!?」
「静かにせんかッ!!・・・こうも人数がおると、ろくに話しもできんわ!!」



「―――じゃが、・・間違いはないわい・・。この子からは、わしの魔力に反応する、
 ごくわずかじゃが、とても強い魔力が感じられる・・・。
 ・・・10年前、奴らに封印された子に間違いない・・。」

「セリューク―――、一体、何がこの娘に起こっているんだ?」
「ああ・・・。―――セニフよ・・。・・・この子は、今、
 召喚魔法、アークティクスの暴走に、苦しんでおる・・。メリーナ、サリーナや!!」

 そう呼ばれて、メリーナとサリーナが部屋に姿を見せた。
「な、なぁ?どうやったら、・・ドルカを救えるんだよ?!」
「ド、ドルカちゃん・・?!」
「お前達も、思い出したかい?・・早速じゃが、力を貸してもらおうと思うてな。
 それに、マーシャ・・・。あんたの力も、貸してくれんだろうかのぉ?」

「わ、私ですか?・・・わかりました!!」
「な、なぁ?俺達は、何をすれば!!」 
「明朝、この子を連れて、北へ向かえ。アークティクスの力の源泉に・・。」
「北―――、ケミュナルスだな・・・。」
「じゃ、それまでに、わしらは、この子に・・命を吹き込むとするかのぉ。」
 セリュークの合図で、4人は、一斉に魔力を放出し始めた。
「リバイバル!!」



 部屋を出た私達は、マーシャ達の長い夜が明けるのを待つ事とした。
「明日は、ここを出る。それまで、各自、体を休めよう。」
「おい、ちょうどいい機会だ。ティルシスの野郎の事、聞かせてもらえねぇか?」
 そうザヌレコフが言った途端、ディッシェム、シーナまでもが私に迫ってきた。
「・・セニフさんよ、―――そろそろさ、いいんじゃねぇのか?」
「忘れてたとでも思ってる?あんたは、私達に、話さなくちゃなんない事があるのよ。
 約束を守ってもらおうかしらね。―――長い夜が始まりそうね・・・。」

 顔は笑っていたが、2人とも、殺気が混じっているのを感じた。
「・・・とにかく、椅子に座れ。」

 アーシェル、シーナ、ディッシェム、そしてザヌレコフは椅子に腰掛けて、
私の話が始まるのを待っていた。どうしても、始めなくてはならない空気だった。

「―――ルシアとの出会い。・・そこから、始めよう・・。」

'06/02/23 edited('05/10/03 written) by yukki-ts To Be Continued. next to


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