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  悲劇の少女―第3幕― 〜第80話〜

 俺はこれまで、殺し屋として生きてきた。
これまで、数え切れねぇくらいの、モンスターや、
・・・人間の息の根を、このスピアで止めた。
 そんな人間の中にたまに、死ぬ直前に、今までの思い出だとか記憶が、
目の前を通り過ぎてくっていう奴がいた。
 今の俺は、ちょうど、そんな感じだったのかもしれねぇ・・・。



「今日も、性懲りもなく来やがったのかよ?!」
「このあいだの借りは、しっかり返してやるから、かくごしてろよ!!」
「おまえたちも、アトルに手なんか出すの、やめればいいだろうに。」
「うるせぇ!!男の子がやられたままで、だまってられるかよ!!なぁ、ドミー!!
 この前のお返しを、きっちりしてやろうぜ!!」

「威勢がよさは褒めてやらぁ。だけど、お前らじゃ、アトルさんにゃ勝てねぇよ。
 ・・・イガーさん、そいつらに、例の奴やってやれ。」

「おまえたちでは、アトルには敵わない。だから、これがせめてもの情けだ。」
「しびれ薬なんか、・・・効かないよ。」
 ドミーは、魔法の力で風をおこした。前に一度戦ってから、
必死に考えた作戦だった。あの野郎の仲間の1人、イガーって奴の
薬のせいで、前ん時は何もできないまま、やられちまったんだった・・・。
「学習はするみたいだけど、その程度じゃ、だめだな。」



「しまった!!ひ、左手が・・・うごかねぇ!!」
「ディッシュ?!」
「わずかにでもこの薬が体に入れば、おまえは動けなくなる。」
「へ、片手でも、動くだけで十分だ!!行くぜ!!」
 俺は、スピアを右手に持って奴らのところに走ってった。
「そんな長いスピアを、片手だけで、おまえみてぇなガキが扱えるかよ?!」
「・・・じゃあ、ためしてやらぁ!!」
「どうせ、口だけ―――」
 俺は、スピアで思いっきりそいつを突いてやった!!
そいつは、ナイフを取り出して防ぎやがったが、俺は、すぐに、
もう一撃くらわせてやった!!
「どうだよ?!・・・文句あんのか?!」
「こ、こいつ・・・やりやがったなぁ!!」
「近寄るんじゃない!!」
 イガーって奴が、急にそう声を上げやがった。
「ディッシュ!!そこを離れて!!」
「な、何?!」



 もう遅かった。俺は、眠り薬の中心に立っちまってた。
「少しでも吸ってみろ・・・。すぐに、一歩たりとも動けなくなる。」
 俺は、すぐにそこから抜けて手前にもどった・・。
せきがなんども出てきた・・・。だんだん、目がかすんできやがった。
「こいつは、もうだめだな。・・・おい、そっちの野郎。俺が、やってやらぁ!!」
「・・・ド、ドミー。」
 そいつは、俺を無視して横を通り過ぎていきやがった!!
「ショートソードか。俺とやろうってんだな。上等だぜ。」
「く・・・さ、させるかよ?!」
 俺は、とにかく、ドミーのとこに向かって走った!!
そいつは、ドミーと目が合った瞬間に、斬りかかった!!

「―――手は、抜いてあげたから。」

 そいつは、急に心臓に手を当てて、倒れこみやがった・・・。
だけど、血が出てないどころか、服も切れちゃあなかった。
「ディッシュ・・・。」



 ドミーと俺は、そいつらに囲まれてた・・・。
「2人、・・・やってやったぜ。」
「こいつら、俺らに喧嘩売ったことの、意味をわかってねぇのか?!」
「ただじゃ、すませねぇからな!!」
 最初に、動きやがったのは、ドミーと、イガーって野郎だった。
「争いは好きではない。だが、そうも言ってられない。お前は、私が相手になろう。」
 まずイガーの野郎が仕掛けやがった!!ドミーはかわしたが、
イガーのナイフが、ドミーの腕をかすった!!
「お前は、そこのガキよりは、面白い戦いが出来るな・・・。」
 俺は、その言葉にブチ切れちまった。
「て、てめぇら!!ボサっとしてんじゃねぇぞ!!」
 俺は、スピアを振り回して、周りでぼけっとしてる奴らに食らわしてやった!!
「まだ動きやがるのか?!こいつ!!」
「お前らじゃ、俺の相手になんざ、ならねぇのよ!!!」



 それから2人の奴にスピアを突きつけたときだった。
俺は、あの野郎―――この俺を負かしやがった野郎がいることに気付いた!!
「て、てめぇ!!!」
「アトル?!」
「イガー?こんなとこで何してやがるんだ?」
 イガーの野郎は、ドミーに毒薬をばらまいて、アトルの奴のとこに戻りやがった。
「てめぇには、会いたかったぜ。やっと、仕返しができるんだからよ。」
「イガー、・・・このバカ野郎は、俺になんて言ってやがるんだ?」
 俺は、アトルの奴のところに向かって走った。
目の前まで行ったときに、急に、しびれと眠気と吐き気が一度におそってきやがった!!
「こんなざまで、俺に何しようってんだ?!」
 アトルの奴が動けなくなっちまった俺のとこまで来て、
思いっきり腹をぶち蹴りやがった。
「痺れ薬も眠り薬もまともに吸った。それに、気付いてないかもしれないから、
 言っておくが、足に毒液をぬりつけたダガーを刺して置いた。」

 俺は、その時、右足がムチャクチャ痛み出したのに気付いた・・・。
「そうかよ。この様じゃ、仕返し・・・されてやれねぇなぁ・・・」
 アトルのかかと落としをまともにくらって、俺の口から血があふれてきやがった。
「ドミー・・・」
 ドミーが、俺の背後に来てた。あの傷口からドミーも毒をくらったみてぇだった。
「こいつらに手ぇかけたみてぇだなぁ、お前。・・・俺が、直々にぶっ殺してやらぁ。」
 アトルの奴がまた俺の方に向かってきやがる。次に攻撃されりゃあ、殺されちまう!!
俺は、気力をふりしぼって、野郎が近づいたギリギリのところで、スピアを振り上げた!!
「・・・まだ、動きやがる・・だと?!」



 体中を、熱い何かがぐるぐるまわってやがるみたいだったけど、
俺は、まだスピアを持ってた。・・・もう、しゃがみこんじまったままだったが。
「ぶっ殺してやるのは・・・俺だよ。くらわして・・・やったぜ―――。」

「―――このバカ野郎は、威勢はいいが、何も考えずに突き進むだけのクソだ。
 ・・・だが、おめぇ程、スピアが扱える野郎は、――― 俺らの手下にもいねぇなぁ。」

「そこのもう1人は、そっちの奴よりは考えるみたいだな。それに・・・、
 ―――持ってるショートソードは、常に、私達の心臓のみを・・・狙っていた。」


「ちょ、ちょっと・・・な、なにやってるの?!あんたたち!!」

 俺の記憶はそこで一度途切れちまった・・・。

'03/11/01 edited by yukki-ts To Be Continued. next to


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